柳営会より一言ご挨拶申し上げます。
柳営会は、徳川幕臣の会です。
昭和55年(1980年)、日光東照宮例大祭に、徳川幕臣の子孫としてご宗家のご参拝に供奉することを契機に、発足致しました。
そのような経緯から、発足の当初は、御目見得以上の旗本家の当主が中心となって始めましたが、やがて、御家人、お数寄屋坊主や大奥女中まで、慶長8年の開幕から、慶應3年の大政奉還まで264年に及ぶ江戸幕府のどこかで、徳川家の禄をいただいたものの子孫を会員の資格とするようになりました。
また、最近では、子孫の定義を、正嫡の家の当主に限ることなく、男系、女系、嫡系、傍系を問わず、幕臣の子孫であれば、会員資格を有するものと致しました。
これを要すれば、江戸幕府という、いわば「トクガワ・カンパニー」に務めたことのある者の子孫が、江戸幕府264年の業績を回顧し、その歴史的な意味を考えるための会と言うことも出来ると思います。
柳営会が発足した昭和55年頃は、まだ戦前の価値観の名残が消えぬ時代で、我々徳川幕臣の子孫たる者は、明治維新の敗者として、如何に勤王の志において薩長に劣る者ではなかったかを弁明しなければならないような風潮がありました。が、平成、令和と年を重ねるにつれて、本当の意味での日本の近代化の基礎が築かれたのは江戸時代であったことが漸く理解されるようになって参りました。
その一つの証拠として、NHK大河ドラマが取り上げる主人公も、西郷隆盛や吉田松陰と言った西方の人々ばかりではなく、昨今では、新島八重、渋沢栄一など東方の人々も公平に扱われるようになったことが挙げられると思います。そして、2023年には久々に徳川家康公が大河ドラマの主人公として登場されるとうかがっております。こうした世の思潮の変遷を背に、柳営会としても江戸幕府264年の歴史に思いを致し、より一層歴史探究の活動を深めて参りたいと考えている次第です。
我々は、「歴史に強い柳営会」をめざします。そのためにも、歴史好きの皆様との絆をさらに強いものとして参りたいと存じます。また、「先祖が幕臣であった」という証拠を持たれる方々には、ぜひ柳営会会員として参加いただきたく、なにとぞご検討のほどお願い申し上げます。
柳営会 会長
植村 泰佳